第11版コアルール解説②―移動フェイズの刷新

11版のウォーハンマー40kでは、移動フェイズの基本的な選択肢そのものは変わっていない。ユニットはその場に留まるか、通常移動を行うか、全力移動で距離を伸ばすか、敵と接敵しているなら退却を選ぶ。しかし、個々のモデルがどこまで近づけるのか、長い車体をどう回転させるのか、飛行ユニットが地形をどう越えるのかという点では、プレイ感を変える大きな修正が入っている。

 

接敵範囲は2mv

最も目につく変更の一つは、接敵範囲が2mvになったことだ。移動を終える際、通常は敵ユニットから2mv以内に入ってはならない。そのため、敵は以前より広い範囲を封鎖でき、増援の進入路や作戦目標周辺を守るスクリーン役の価値が増している。

ただし、移動中に接敵範囲を横切ること自体は可能になった。十分な移動距離を持ち、移動終了時に敵から2mvより外へ抜けられるなら、敵の脇をすり抜けるような動きができる。敵モデルの周囲は完全な通行禁止区域ではなく、「そこで停止できない危険区域」になったと考えると分かりやすい。

通常移動はデータシートの移動力まで移動する最も基本的な選択だ。全力移動ではD6を加えて長く走れるが、原則として射撃、突撃、アクションができなくなる。退却は敵との接敵状態から離脱する移動であり、こちらも通常は射撃や突撃、アクションを放棄することになる。さらに、敵モデルを通り抜けて退却する場合や、戦闘ショック状態で退却する場合には決死の脱出を行わなければならない。

旋回に移動力を払わなくてよい

10版では、特定の車両や楕円形ベースを持つモデルが方向転換をするとき、実質的な移動コストを支払う場面があった。第11版では、モデルは中心軸を基準に何度でも無料で回転でき、移動距離として数えるのは直線移動だけになる。

これは運用を簡単にする変更だが、長く細い車両では思わぬ効果を生む。たとえば横向きに配置した車両が、最初に無料で向きを変えることで、車体の先端を作戦目標や敵へ近づけられる場合がある。ライノのような輸送車両や、車体の長い大型戦闘車両では、初期配置の向きすら戦術の一部になり得る。

一方で、友軍モデルを通り抜ける移動はかなり寛容になった。友軍の歩兵だけでなく、味方のモンスタービークルの位置を通過して移動できると解説されている。もちろん、移動終了時に重なったままになったり、地形の内部に中途半端に埋まったりすることはできない。前線の大型モデルを避けるために味方の進軍が詰まる場面は、以前より減りそうだ。

 

モンスターとビークルは歩兵を押しのけて進む

11版では、モンスタービークルが通常移動または全力移動を行う際、敵の歩兵などのモデルを通り抜けられるようになった。ただし、敵のモンスタービークルそのものは通り抜けられない。戦車が歩兵を押しのけて突破し、巨大な怪物が小さな兵を踏み越えるという、イメージに合った処理である。

この能力は突撃移動には使えず、退却にも使えない。つまり、敵に取り囲まれた戦車が、ただ歩兵を通り抜けて安全に逃げる手段にはならない。退却時には必要に応じて決死の脱出を行い、被害を受ける危険を負うことになる。

また、ベースを持たない車両や怪物には、車体全体を測定対象とするための「フレーム」に相当するキーワードが付く。砲身や突起も含め、モデルの最も近い部分から距離を測る処理が整理されることで、大型車両の測定は分かりやすくなるだろう。

飛行は移動力を払う代わりに地形を無視する

飛行ユニットの変更は、勝敗に大きく影響する可能性がある。第11版では、飛行能力を実際に使って「空へ舞い上がる」場合、移動距離を2mv減らす。その代わり、地形や他のユニットを通過し、垂直方向の移動距離を無視できるようになる。

たとえば移動力14mvの反重力戦車が飛行移動を選んだ場合、実際に進める距離は12mvになる。しかし、その12mvで巨大な廃墟の向こう側へ真っ直ぐ抜けられるなら、地形を回り込むよりはるかに速い。高い壁の裏に隠れていた高速車両やジェットバイクが、一気に射線を通して攻撃に移る場面が増えるはずだ。

歩兵のジャンプパック部隊にとっては、少し評価が複雑である。これまで地形やモデルを越えやすかった部隊が、同じことをするために2mvを支払う必要があるからだ。逆に、大型の飛行車両や飛行怪物は、以前より地形に妨げられずに攻撃位置を確保しやすくなる。飛行能力は、単なる高速移動ではなく、「移動距離を少し犠牲にして盤面の障害を無視する」選択肢へ整理されたのだ。

長い隊列は作りにくくなる

ユニットの隊形維持にも大きな変更がある。各モデルは従来通り、少なくとも一体の味方モデルから2mv以内にいなければならない。加えて第11版では、同じユニットのすべてのモデルが互いに9mv以内へ収まっている必要がある。(ルールブックの文面が曖昧なため、分かりやすくエラッタが来る可能性が高い)

この規定は、部隊を細長く一本の鎖のように伸ばし、離れた二つの地点へ同時に影響を及ぼす運用を制限する。大人数の歩兵部隊は、より塊として動かなければならない。ゲーム上の有利さを求めて不自然な長蛇の列を作る場面が減るのは、見た目の面でも好ましい変化だろう。

移動後や損害を受けた後に隊形が崩れた場合、ターン終了時に隊形が成立するまでモデルを取り除かなければならない。したがって、攻撃を受けた後に部隊が分断されないよう、損害の取り除き方にも注意が必要になる。

決死の脱出はハザードロールで処理

退却中に敵を通り抜ける場合や、戦闘ショック状態の部隊が退却する場合には、決死の脱出が発生する。第11版ではこれをハザードロールで処理し、ユニット内の各モデルにつきD6を一個振る。1または2が出ると、そのユニットは通常1点の致命的ダメージを受け、モンスタービークルであれば3点を受ける。

10版のようにモデルが丸ごと失われる危険とは性質が変わり、多ウーンズの精鋭モデルは多少耐えやすくなった。一方、1ウーンズの軽歩兵は、10版よりも大きな損害を受けかねない。敵に囲まれる前に退路を確保すること、そして戦闘ショックを避けることは、第11版の移動において非常に重要である。

次回は、盤外から現れる戦略的予備戦力と縦深攻撃、そして前方展開を担う斥候や浸透戦術の変更を見ていく。

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