戦場の中央で撃ち合う部隊だけが勝敗を決めるわけではない。盤外で待機し、敵の弱点を狙って現れる増援は、ウォーハンマー40kのゲームを大きく動かす存在だ。第11版では、戦略的予備戦力や縦深攻撃の到着距離が変化し、増援をいつ盤上へ置くかという手順も柔軟になった。強襲部隊を使うプレイヤーにとっては、必ず把握しておきたい変更である。
戦略的予備戦力は移動フェイズ中に到着する
ゲーム開始時に戦略的予備戦力へ置けるユニットは、アーミーのポイントの50%までとなる。これらのユニットは通常、第2または第3バトルラウンドに「ingress move」(日本語未定)を行って戦場へ到着する。第1バトルラウンドに通常の予備戦力が出現することはできず、第3バトルラウンドまでに到着しなかったユニットは破壊されたものとして扱われる。

大きな変更は、増援の配置が移動フェイズの最後に固定されなくなった点だ。第10版では、自軍の通常移動をすべて終えた後に増援を配置する流れが基本だった。第11版では、移動フェイズ中の好きな順番で増援を到着させられる。まず増援を降下させて敵の反応や配置を意識し、その後に盤上の部隊を動かす、といった考え方ができる。手順上の窮屈さが減るだけでなく、自分のターンの計画を組み立てやすくなる変更だ。
通常の戦略的予備戦力は、戦場端から6mv以内に完全に収まるように配置する。第2バトルラウンドでは敵の配置ゾーン内へ入ることはできず、第3バトルラウンドになれば敵陣側の端からも侵入可能になる。背後を薄くしている相手には、ゲーム後半の増援が大きな圧力となるだろう。
敵から8mv離して配置――メルタ兵器に追い風
増援の配置距離は、第10版で一般的だった敵から9mvより外側ではなく、第11版では敵から8mvより外側になると解説されている(8mvより外側なので、8mvより離れていることに注意)。わずか1mvの差に見えるが、射撃部隊にとっては重要である。
特に影響が大きいのが、至近距離で追加ダメージを得るメルタ兵器だ。射程の半分以内で威力を上げる武器であるため、射程18mv以上であれば8mvより外側への配置によって、降下した直後から強化距離に入りやすくなる。倒したい敵の目の前へ突然現れる対戦車部隊は、以前より分かりやすく活躍できるようになった。
ただし、突撃に関しては単純な強化ではない。第11版の突撃は、敵へ接敵するための距離計算がベース接触に変わるため、8mvより外へ置いた部隊が突撃を成功させるには、一般に9以上の出目が必要になると説明されている。つまり、射撃を伴う強襲は強くなる一方、増援からの白兵戦突入が容易になったわけではない。第10版と何も変わらないのだ。

縦深攻撃は盤面の自由度を維持
縦深攻撃を持つユニットは、通常の戦略的予備戦力のように戦場端から侵入する必要がない。敵から定められた距離を保ちさえすれば、敵陣を含め、盤面の任意の場所へ配置できる。テレポートで現れる重装歩兵、空から降下する強襲兵、異常な速度で襲来する怪物などは、依然として守りの薄い場所を狙える。
一方、到着したユニットには新しい制限がある。「ingress move」で戦場へ置かれたユニットは、突撃フェイズまで追加の移動を行えない。たとえば射撃後に再移動する能力を持つ部隊が、降下して射撃し、そのまま遮蔽物の裏へ逃げ込む、といった動きは難しくなる。敵の目前に降りるなら、反撃を受ける覚悟も必要だ。
一度盤上にいたユニットが特殊能力で戦略的予備戦力へ戻り、再配置される場合は、開始時から予備戦力だった部隊と比較して配置タイミングが異なる場合がある。こうした再配置能力は、ゲーム終盤の空いた作戦目標を奪ううえで非常に有用なため、データシートの内容をしっかり確認して欲しい。
斥候は浸透戦術と併用できない
増援と同様に、ゲーム開始前の位置取りを左右するのが斥候と浸透戦術である。斥候は、先攻後攻が決まった後、データシートに記された距離だけ事前移動を行える能力だ。第11版では、ターン開始前の移動は敵から8mvより離れていなければならない。
しかし大きな制限として、浸透戦術で前方配置したユニットは、斥候移動を行えなくなる。第10版では、前方へ配置したうえで、先攻ならさらに前へ圧力をかけ、後攻なら安全な位置へ引き戻すという非常に便利な使い方ができた。第11版では、浸透戦術か斥候移動かのどちらかを選ぶことになり、初期盤面を支配する軽歩兵の万能感は抑えられる。
斥候には別の使い方も追加される。戦略的予備戦力へ置いた斥候を持つユニットは、先行後攻の決定後に自軍配置ゾーン内の任意の場所へ配置し直せるというものだ。相手の配置を見てから、対処したい脅威の正面へ置き直す運用が可能になる。常に通常の事前移動より有利とは限らないが、特定の敵を警戒したい場面では役に立つ。
浸透戦術自体は、敵ユニットや敵配置ゾーンから8mvより離れていれば、中盤へ前方配置できるという形で存続する。わずかに配置可能範囲が広がった一方、斥候との重ね掛けが失われたことで、ゲーム開始直後に敵を閉じ込める動きはやや難しくなるだろう。

増援対策は「距離」だけではない
第11版では接敵範囲が2mvへ広がり、ユニットの影響範囲が大きく変わった。敵の増援を防ぐには、単に盤面の端へモデルを並べるだけでなく、作戦目標周辺や重要な射線の裏側に2mvの接敵範囲と8mvの到着制限を組み合わせて網を張る必要がある。
しかし、防御側が広がり過ぎれば、中央の作戦目標が薄くなる。逆に、攻撃側は降下した直後に安全に逃げられないため、出現地点を誤れば高価なユニットを失う。第11版の増援は、配置の自由度を増しながらも、使い捨ての奇襲にならないようリスクを増やした良い調整と言える。
次回は、戦場へ現れた部隊が実際にどのように射撃し、どのようにダメージを受けるのかを解説する。特に、新しい高速ダイス処理は、第11版で最初に戸惑いやすいルールの一つだ。



