ミニチュアゲームにおいて、地形は単なる飾りではない。どこから撃てるのか、どこなら生き残れるのか、どの作戦目標を安全に確保できるのかを決定する。第11版のウォーハンマー40kでは、地形のルールが大きく整理され、特に射撃への影響が根本から変わる。第10版から移行するプレイヤーが最も慎重に確認すべき章の一つだ。
地形エリアと地形物を分けて考える
第11版では、盤面に置かれた廃墟や森、コンテナなどの地形物だけでなく、その地形が載っている「地形エリア」の輪郭が重要になる。プレイヤーは、同じ形のエリア上にL字型の廃墟を置いても、森を置いても、低いバリケードと彫像を置いてもよい。地形の外観に自由度を持たせながら、ゲーム上の判定はエリアの形で統一しやすくなる仕組みだ。
地形物は、大きく軽遮蔽と密集遮蔽に分類される。バリケード、低い壁、彫像のような小さなものは軽遮蔽。建物、廃墟、装甲コンテナ、森など、視線や移動を大きく妨げるものは密集遮蔽である。高さ2mv未満の障害物は多くのモデルが越えやすいが、それ以上の大きな密集遮蔽を自由に通過できるのは、主に歩兵、ビースト、スウォーム、そして適切な移動能力を持つユニットとなる。
堅固一階の窓を撃ち抜けない
新たに整理された重要なルールが「堅固(Solid)」である。これは、密集遮蔽の地上階にある窓や隙間を、ゲーム上は塞がっているものとして扱う仕組みだ。地面から3mv未満の高さにあり、地形によって囲まれた窓のような開口部を通して、通常の視線を引くことはできない。
大会でよく採用されてきた「廃墟の一階は窓が閉じているものとして扱う」という運用を、共通ルールへ取り込んだものだと言える。実際のテレインが窓の多い華やかな造形であっても、窓のない壁であっても、テレインのの性能を一定にできる。
また、武器の先端や触手だけを窓へ差し込むようにして、相手へ視線を通す抜け道も認められない。モデルの本体が壁の反対側にあるなら、小さな突起だけで堅固を破ることはできない。見た目の不自然な測定で射撃を成立させる問題を抑える意図が感じられる。
遮蔽の恩恵はセーブ強化ではなく射撃技能低下
第11版の地形変更で最も衝撃的なのは、遮蔽の恩恵である。第10版では、遮蔽は基本的に防御側のアーマーセーブを+1にした。しかし第11版では、遮蔽を受けているユニットを撃つ攻撃者の射撃技能を1悪化させる。
つまり、遮蔽は「弾が装甲に当たった後で防ぐ」のではなく、「そもそも狙いを付けにくくする」効果となった。精度の高い軍勢は多少の影響で済むが、もともと命中が不安定な軍勢にとっては、遮蔽内の敵を撃つことがかなり厳しくなる。特に射撃技能4+や5+を基本とするアーミーは、位置取りを誤ると火力が大幅に落ちる可能性がある。
歩兵、ビースト、スウォームは、地形エリア内に少しでも入っていれば遮蔽を得られる。ただし、攻撃対象のユニット内に一体でも遮蔽を受けていないモデルがいる場合、そのユニット全体を撃つ際の遮蔽効果が成立しない場合がある。部隊を半端に地形からはみ出させると、全体の防御を損ねるわけだ。
戦車や怪物などは、攻撃者から見てモデルの一部が地形によって隠れていれば遮蔽を得やすい。大きなモデル一体で構成されるユニットは、一部分を隠すだけで条件を満たしやすく、逆に大人数の歩兵は全員を隠す必要があるため管理が難しい。
さらに、遮蔽は射撃を行うモデルごとに判定される。ある射手からは敵全体が丸見えでも、同じユニットの別の射手からは敵が壁に隠れて見えるなら、後者の攻撃だけ射撃技能が悪化する。大人数の射撃部隊では、攻撃を分けて処理する必要が増えるため、実際のゲームでは事前に見通しを整理しておくとよい。
従来、命中を悪化させる能力として扱われていた隠密能力も、第11版では遮蔽の恩恵を得る能力として整理される。そのため、既に地形から遮蔽を得ている部隊へ隠密能力が付いても効果は重ならない。第10版のように「地形でセーブを高め、隠密能力で命中も悪化させる」という二重の防御は成立しなくなり、隠密能力部隊の耐久性は状況によってやや控えめになる。
地形エリアを隔てた場合「少し入れば撃てる」変更
地形エリアには、エリアの向こう側にいる敵を見通せなくする遮蔽地形の処理もある。攻撃側から見て、敵が地形エリアの完全な向こう側にいるなら、通常は互いに視認できない。部隊を廃墟の裏へ隠し、次のターンに前へ出て攻撃するという駆け引きは引き続き重要である。
ただし第11版では、モデルが地形エリアへ部分的にでも入れば、その地形を通して反対側へ射撃できるようになると解説されている。第10版では、巨大な戦車が廃墟エリアに少し触れただけでは、反対側の敵へ撃ち返せない場面があった。第11版では、車体の一部をエリアへ進めて視線が通れば、ヘヴィを撃ち込める。
これはモンスターやビークル、特に大型の射撃モデルにとって大きな強化だ。完全に露出することなく、地形の端から射線を引き出しやすくなる。戦車を地形の後ろへ待機させ、一歩前へ出した瞬間に火力を発揮させる運用が強くなるだろう。
隠密状態撃たなければ発見されにくい歩兵
第11版を象徴する新要素の一つが「隠密状態(Hidden)」である。解説された基本ルールでは、歩兵、ビースト、スウォームのモデルが密集遮蔽を含む地形エリア内に入り、前のターンに射撃を行っていなければ、隠密状態状態になれる。
隠密状態はモデル単位で判定され、基本の探知距離は15mvである。敵射手から15mvより離れている隠密状態モデルは、視認できないものとして扱われ、通常の射撃対象にならない。作戦目標に隠れている小部隊や、突撃の機会を待つ白兵戦部隊は、無理に小銃を撃たずに潜伏することで、遠距離火力から身を守れる。
重要なのは、隠密状態を失う主な理由が射撃であることだ。部隊は移動し、全力移動し、突撃し、白兵戦を行い、アクションを実行しても、条件を満たす限り隠密状態を維持できると説明されている。銃撃を控えて接近する戦い方を、ルールが明確に後押しする。
また、公開前のデジタル更新情報として、軽遮蔽しかないエリアでも隠密状態が可能になり、さらにモデルが壁やバリケードに実際に隠れて完全には見えない場合、「地面に伏せる」に相当する追加効果で探知距離を3mv短縮し、12mvまで近づかなければ撃てない処理が示唆されている。これは正式公開後のデジタル記載を確認すべき部分だが、近接部隊や得点要員の生存性を大きく上げる可能性がある。
高所射撃と巨大兵器
高所射撃(Plunging Fire)、つまり高所からの見下ろし射撃も実用性が増す。第10版では高さ6mv以上という厳しい条件で貫通値を高める能力だったが、第11版では地上より3mv以上高い位置から地上の敵を撃つと、射撃技能を+1できると説明されている。
多くの廃墟の二階部分で利用可能になり、遮蔽による射撃技能低下を相殺したり、ヘヴィ武器と組み合わせて極めて正確な射撃を行ったりできる。高所を確保する価値が、これまで以上に明確になる。
また、高層キーワードを持つユニットは、近距離の地上目標に対して高所射撃を得る仕組みに変わるとされる。巨大兵器は地形の向こうを自由に撃てるわけではなくなった一方、接近した敵には高い視点から正確な砲撃を浴びせる存在になる。
第11版の地形は、単なるセーブ判定の補助ではない。射線を開くか閉ざすか、身を潜めて得点を狙うか、あえて撃って存在を晒すかという、戦い方そのものを決める仕組みへ変化している。次回は、遮蔽物から飛び出した部隊が行う突撃と、白兵戦の新しい順序を解説する。




