第二次アルマゲドン戦争は、941.M41に始まった。銀河最強のオルク大将軍のひとり、ガズグッカル・ザラガが、巨大なWAAAGH!を率いてアルマゲドンへ侵攻したのである。

この時、アルマゲドンの防衛を担っていたのは惑星総督ハーマン・フォン・ストラブだった。しかし彼は、この未曾有の危機に対してあまりにも無能で、あまりにも傲慢だった。防衛準備は不十分で、現実的な警告を軽んじ、敵の規模を見誤った。結果として、アルマゲドンは開戦直後から大きな混乱に陥る。
この危機を立て直したのが、ブラッドエンジェルの司令官ダンテである。帝国軍の指揮は彼のもとに移り、ようやく防衛戦は組織的なものとなった。しかし、第二次アルマゲドン戦争において最も象徴的な存在となったのは、ダンテではない。ひとりの老政治将校、政治将校ヤーリックである。
ヤーリックはもともと、アルマゲドン・スティールレギオンに配属されたアストラ・ミリタルムの政治将校だった。彼は早くからオルク侵攻の危険性を訴え、防衛準備の必要を主張していた。しかし、その進言はフォン・ストラブにとって耳障りなものだった。結果、ヤーリックは厄介払い同然にハデス・ハイヴへ送られてしまう。
だが、この判断は皮肉にもアルマゲドンを救うことになる。ハデス・ハイヴに送られたヤーリックは、正規軍だけでなく市民をも組織し、即席の民兵部隊を作り上げた。彼は兵士たちに恐怖ではなく覚悟を与え、絶望的な状況の中で防衛線を築いた。オルクの大軍勢が押し寄せる中、ハデス・ハイヴは頑強に抵抗し続けた。

この抵抗は、単なる局地戦の成功にとどまらなかった。ハデス・ハイヴの粘り強さは、ガズグッカルの興味と怒りを引きつけたのである。オルクにとって戦いとは、単なる戦略ではなく、本能であり歓喜であり、誇りの証明である。頑強に抵抗する敵がいればいるほど、そこは「良い戦場」になる。ヤーリックの防衛戦は、まさにガズグッカルにとって見過ごせない挑戦となった。
やがてガズグッカルは、より多くの兵力をハデス・ハイヴ攻略へと投入する。戦場は拡大し、戦いは泥沼化した。だが、それこそが帝国側にとっての勝機だった。ガズグッカルがハデス・ハイヴにこだわればこだわるほど、他の戦線にかかる圧力は弱まる。帝国軍はその隙を突き、反攻の準備を整えていった。
最終的にハデス・ハイヴは陥落する。しかし、その抵抗が稼いだ時間は決定的だった。帝国軍は反撃に転じ、オルクの侵攻軍を打ち破ることに成功する。ヤーリックは生き延び、ガズグッカルもまたこの戦いを忘れなかった。ここに、ウォーハンマー40,000でも屈指の宿敵関係が生まれる。
第二次アルマゲドン戦争は、帝国の勝利に終わった。だが、それは完全な終結ではなかった。ガズグッカルは敗北を単なる失敗とは考えない。むしろ、より大きな戦いへの序章として受け止めたのだろう。オルクにとって、強敵との戦いは屈辱ではなく楽しみである。ヤーリックという名は、ガズグッカルの中で特別な意味を持つようになった。
そして57年後。ガズグッカルは再びアルマゲドンへ戻ってくる。998.M41、第三次アルマゲドン戦争の始まりである。
この時、アルマゲドンにはかつての英雄たちが再び集められた。もちろん、政治将校ヤーリックもそのひとりだった。老いてなお戦意を失わない彼は、若い兵士たちにとって生きた伝説であり、オルクにとっては恐るべき敵だった。
第三次アルマゲドン戦争は、前回以上に巨大な戦争となった。惑星各地にオルクの降下拠点が出現し、ハイヴシティ、工業地帯、港湾、油田、水処理施設、鉱山が次々と戦場になった。アルマゲドンは単に軍事的な拠点ではなく、工業と補給によって生きる惑星である。そのため、戦争は都市だけでなく、惑星の生命線そのものをめぐる争いとなった。

特に重要だったのが、アルマゲドン・セクンドゥスの各都市である。ヘルズリーチ・ハイヴ、インフェルヌス・ハイヴ、ハデス・ハイヴ、アケロン・ハイヴ、タルタロス・ハイヴ。それぞれの都市が、異なる形で戦争の炎に包まれた。中でもヘルズリーチは、後に多くのファンに知られる象徴的な戦場となる。
第三次戦争の結末は、明確な勝利とは言いがたいものだった。帝国はかろうじて惑星を保持したが、ガズグッカルは完全に討ち取られたわけではない。彼はやがてアルマゲドンを離れ、さらに大きなグレイトWAAAGH!へと向かう。そして政治将校ヤーリックは、彼を追う。さらにブラックテンプラーの大将帥ヘルブレヒトもまた、配下のクルセイドを率いてその後を追った。

こうしてアルマゲドンは、一度守られた。だが、この星に平和は訪れない。オルクたちはこの惑星を、最高の戦場として記憶してしまった。戦うために生きる彼らにとって、アルマゲドンは聖地のような場所になっていく。そこに行けば、必ず強敵がいる。そこに行けば、必ず大きな戦いがある。
帝国にとってのアルマゲドンは、守らねばならない工業惑星である。
オルクにとってのアルマゲドンは、永遠に戦える楽園である。
この認識の差こそが、惑星を終わらない戦争へと縛りつけたのである。




