スペースマリーンとは何者か?

死の天使が生まれるまで

ウォーハンマー40,000の世界を初めて知る人にとって、最初に目に入りやすい存在がスペースマリーンだろう。分厚いパワーアーマーをまとい、巨大な武器を軽々と扱い、人類の敵を粉砕する超人的な戦士たち。彼らはしばしば「死の天使」と呼ばれ、帝国における最強の戦力の一つとして語られる。

だが、彼らは単なる「強い兵士」ではない。スペースマリーンを理解するには、まずウォーハンマー40,000という世界そのものを少しだけ知る必要がある。現在の物語は「西暦4万年」ではなく、さらに先の42千年紀、すなわちM42と呼ばれる時代に進んでいる。ゲーム『スペースマリーン2』の舞台も、この最新時代に位置しており、第四次ティラニッド戦争インドミトゥスの時代と呼ばれる大きな戦乱の中にある。

しかし、スペースマリーンの起源はそこからはるか昔、25千年紀ごろまでさかのぼる。

かつて人類は銀河規模の文明を築いていた。だが、その栄光は崩れ去り、人類社会は無数の小国家や孤立した勢力へと分裂してしまう。地球はテラと呼ばれるようになり、銀河の他の地域から切り離されていた。その原因の一つが、ワープストームである。

ワープとは、現実宇宙の外側に存在する異次元の領域だ。生きとし生けるものの感情や精神が流れ込む、混沌とした霊的な海のような場所であり、そこには悪魔や異様な存在、理解不能な力が渦巻いている。ワープストームとは、そのワープと現実空間の境界が荒れ狂う現象であり、航行や通信を遮断するほどの災厄となる。

この断絶によって、人類は「闘争の時代」へと突入した。かつて一つの文明だったものはバラバラになり、テラ上では無数の武装勢力が覇権を争うようになる。彼らはテクノ・バーバリアンと呼ばれ、失われた科学技術と野蛮な支配体制を組み合わせた戦争国家を築いていた。

 

そんな混乱の時代に現れたのが、後に皇帝と呼ばれる存在である。

皇帝はただの指導者ではない。現在の設定では、彼は人類史の影で長く活動してきた超人的存在として描かれる。ルネサンス、産業革命、原子力の発見など、人類の重要な進歩の背後に彼がいたのではないか、と示唆されることすらある。彼はパーペチュアル (Perpetualと呼ばれる不死に近い存在であり、通常の手段では殺すことができない。

さらに古い伝承では、太古のシャーマンたちが渾沌の脅威を察知し、自ら命を絶って霊的な力を一つに集め、その結果として誕生した存在が皇帝であるとも語られる。つまり彼は、人類を導くために生まれた究極の守護者であり、同時に非常に謎めいた存在でもある。

やがて皇帝は影から表舞台へと姿を現し、テラ統一のための戦争を開始する。これが統一戦争である。

その戦争で皇帝が用いた最初の超人兵士が、サンダーウォーリアーだった。彼らは後のスペースマリーンの原型とも言える存在で、成人男性を遺伝子改造し、強化装甲と強力な武器を与えた戦士たちである。彼らは20の軍団に分けられ、それぞれが白兵戦、攻城戦、防衛戦など、異なる戦術分野を得意としていた。


この時点でも「軍団」や「プライマーク」という用語は存在していたが、後の時代に語られるスペースマリーンプライマークとは意味が違う。サンダーウォーリアーにおけるプライマークは、あくまで優れた指揮官、あるいは武勇に秀でた戦士という程度の存在だった。

統一戦争は長く続き、最終的にテラ皇帝の旗のもとに統一される。帝国の公式記録では、最後のサンダーウォーリアー皇帝の旗を掲げ、勝利の中で戦死したと語られることもある。しかし、ウォーハンマー40,000の世界では、帝国側の記録は常に疑って読む必要がある。なぜなら帝国の歴史は、宗教的教義、検閲、宣伝によって大きく歪められているからだ。

実際には、皇帝サンダーウォーリアーをそのまま未来へ持ち越すことはできないと判断していた。彼らはあまりにも戦争に特化しすぎていた。征服のためには有用でも、平和を維持し、民を守る存在には向いていなかったのである。

加えて、彼らの肉体改造技術は不完全だった。多くのサンダーウォーリアーは時間とともに肉体や神経が崩壊し、長く生きることができなかった。皇帝が銀河へ進出しようと考えたとき、彼らをテラに残せば、再び内戦が起こる危険もあった。

そこで皇帝は、より完成された新たな超人兵士を作ることにした。

それがスペースマリーン、正式にはアデプトゥス・アスタルテスである。

スペースマリーンは、サンダーウォーリアーの後継でありながら、より安定し、より精密に設計された存在だった。彼らは皇帝の遺伝子だけでなく、後に創造されるプライマークたちの遺伝的特徴を受け継ぐ戦士として作られた。

そして、スペースマリーンが増えていく一方で、不要となったサンダーウォーリアーは排除されていく。最終的には、後にダークエンジェルとして知られることになる第一軍団と、皇帝直属の近衛であるカストーデスによって、最後のサンダーウォーリアーたちは粛清された。

このようにして、人類最初の超人兵士は歴史から姿を消し、その後継者たるスペースマリーンが誕生した。

彼らは人類の守護者である。だが同時に、普通の人間から見れば、ほとんど神話上の存在でもある。帝国の一般市民や帝国防衛軍の兵士にとって、スペースマリーンは単なる味方ではない。伝説の英雄であり、皇帝の意志を体現する生ける武器なのだ。

だからこそ、戦場に彼らが現れたとき、人々は歓声を上げるだけではなく、畏怖する。彼らは人類の味方でありながら、もはや普通の人類とは別の階層にいる存在なのである。

次回は、そんなスペースマリーンがどのように作られるのか、そして彼らを生み出す鍵となったプライマークとは何者なのかを見ていこう。

 

ウォーハンマー40k設定解説

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